2020年5月26日火曜日

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)を読んだ。

 ただの通史ではない。黙読の歴史、蔵書収集の歴史、図書分類の歴史など、お好きな方にはたまらない渉猟ぶり。古今東西、異様に博識です。

 例えば朗読会の歴史。古代ローマでは頻繁に開催され、自作の出版への第一歩になっていました。朗読を聞かない客に怒り、出版で名が売れたと喜ぶ小プリニウスが、わりとかわいいです。近代英国、朗読会の花形はディケンズで、演技や感情に頼らずに想像を喚起させる巧者だったとか。キューバは独立前夜、工場労働者に朗読会が広まるも、団結を恐れた政府はこれを弾圧しました。

2020年5月21日木曜日

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)を読んだ。

 タックス・ヘイブンに関わる専門家は「全て合法に行っています」と言い、にわかに信じがたいわけですが、本書曰く、合法違法など実は大した問題ではない。秘密主義こそが問題なのです。

 経済学者はどんなに右寄りでも市場が働くには情報開示が必須としています。秘匿は市場を毀損し、経済を破壊します。

 法人にプライバシーなど大した問題ではない。法人は法人名義の財産の限度でしか責任を負わないのに、財産収支も隠すのは、責任と釣り合わず、信用の対象がなくなります。秘匿は信用を縮小し、経済を破壊します。

2020年5月15日金曜日

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)を読んだ。

 統計からの予測によれば、寿命は100年に延びるでしょう。そうなったらどうなるか。学習して、仕事して、引退するという三段階は崩れるでしょう。若い頃の勉強で一生をもたせるのが難しくなるためです。定年後も長すぎますし。

 「変身資産」が面白い。人生が長ければ、一度くらいは大変革に直面するでしょう。活動する分野を変えたり、学習に戻ることもあるでしょう。そのとき、自分にとって本当に大切なのは何か、得意なのは何かを理解していることは財産なのです。自分の人生を遠景から見たい時、お勧めです。