2020年5月28日木曜日

『人間になるための芸術と技術 ヒューマニティーズからのアプローチ』(小野俊太郎)

『人間になるための芸術と技術 ヒューマニティーズからのアプローチ』(小野俊太郎)

『人間になるための芸術と技術 ヒューマニティーズからのアプローチ』(小野俊太郎)を読んだ。

 人文学は絶滅危惧種らしいですが、しかし人文学は役に立つ。教養の尺度とか、無用の用とか、そういうんじゃなくて、本当に役に立つんだ、という主張です。私見によれば、人は苦しい主張でもしなければならないことがある。

 我々の前に現に生じる状況には、再現性などなく、実験などありえません。また言語は、字義どおりの理解ではすまない性質を持ちます。その中で決断するなら、メタファーでやるしかない。メタファーや、複数の読みのどれがいいかを扱う人文学こそが、むしろ最も実践的といえるのです。本当か。

2020年5月26日火曜日

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)を読んだ。

 ただの通史ではない。黙読の歴史、蔵書収集の歴史、図書分類の歴史など、お好きな方にはたまらない渉猟ぶり。古今東西、異様に博識です。

 例えば朗読会の歴史。古代ローマでは頻繁に開催され、自作の出版への第一歩になっていました。朗読を聞かない客に怒り、出版で名が売れたと喜ぶ小プリニウスが、わりとかわいいです。近代英国、朗読会の花形はディケンズで、演技や感情に頼らずに想像を喚起させる巧者だったとか。キューバは独立前夜、工場労働者に朗読会が広まるも、団結を恐れた政府はこれを弾圧しました。

2020年5月21日木曜日

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)

『ダーティ・シークレット タックス・ヘイブンが経済を破壊する』(リチャード・マーフィー)を読んだ。

 タックス・ヘイブンに関わる専門家は「全て合法に行っています」と言い、にわかに信じがたいわけですが、本書曰く、合法違法など実は大した問題ではない。秘密主義こそが問題なのです。

 経済学者はどんなに右寄りでも市場が働くには情報開示が必須としています。秘匿は市場を毀損し、経済を破壊します。

 法人にプライバシーなど大した問題ではない。法人は法人名義の財産の限度でしか責任を負わないのに、財産収支も隠すのは、責任と釣り合わず、信用の対象がなくなります。秘匿は信用を縮小し、経済を破壊します。

2020年5月20日水曜日

『人生最後のご馳走 淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食』(青山ゆみこ)

『人生最後のご馳走 淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食』(青山ゆみこ)

『人生最後のご馳走 淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院のリクエスト食』(青山ゆみこ)を読んだ。

 表題のホスピスでは、週1回、食べたい献立をリクエストできます。末期がん患者の、食と人生のインタビュー集です。どんな人生にも物語があることがわかります。仕事で成功しようと、普通に過ごそうと、死期が近づけば同じようなもの。

 「小さい頃からずっと働きづめだったから、こんなにゆっくりさせてもらう日が来るなんて夢にも思ってなかったわ。さっきも娘たちが顔をマッサージしてくれてね、気持ちよかったわ。極楽。こんなにようしてくれて…。ほんとうにありがたいね。」泣くよりも、むしろ癒されました。

2020年5月15日金曜日

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)

『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット)を読んだ。

 統計からの予測によれば、寿命は100年に延びるでしょう。そうなったらどうなるか。学習して、仕事して、引退するという三段階は崩れるでしょう。若い頃の勉強で一生をもたせるのが難しくなるためです。定年後も長すぎますし。

 「変身資産」が面白い。人生が長ければ、一度くらいは大変革に直面するでしょう。活動する分野を変えたり、学習に戻ることもあるでしょう。そのとき、自分にとって本当に大切なのは何か、得意なのは何かを理解していることは財産なのです。自分の人生を遠景から見たい時、お勧めです。

2020年5月11日月曜日

『南方熊楠 複眼の学問構想』(松居竜五)

『南方熊楠 複眼の学問構想』

『南方熊楠 複眼の学問構想』(松居竜五)を読んだ。

 面白い。熊楠の奇人ぶりが凄い。いつも裸、男色、ナナフシの交尾を熱心に観察しすぎてその精液が眼に入り七転八倒、といった有様がナイス。しかしやっぱり、学問こそ素晴らしいです。明治人なのにダーウィンの衝撃と正面から取り組み、膨大な古今東西多言語文献を読み込み、フィールドワークもたっぷり。

 民俗も、森も、複数の因果関係のもとに形成されている。一つの因果の流れが分かっても捉えきれない。複数の因果が影響すると反応は錯雑する。まさに曼荼羅。熊楠が言うからこそ、異様な説得力を持つのです。

2020年5月9日土曜日

読書会紹介


大阪で新書の読書会を始めました。 

新書好きな方、参加募集中です!  

雰囲気は、なごやかでざっくばらんです。
参加者は、会社員・主婦・学生の方々です。人数は毎回8名程度です。  

テーマについて深く、かつ多様に考えることのできる読書会としたいです。  

【進め方】
奇数回と偶数回で異なります。

奇数回は、参加者それぞれがおすすめの新書を紹介する、紹介型の読書会です。ビブリオバトルのルールに従ってやってます。発表でも投票のみでも参加可能です。ビブリオバトルについてはこちら

偶数回は、前回紹介された本の中から選ばれた1冊をみんなで読む、課題本型の読書会。読んで感銘を受けたページを指摘しながら、自分の読みを概ね5分ずつ語る(短くても可、パスも可)、というような形でやってます。

【今までのテーマ】
第1、2回のテーマは「情報」
第1回で発表された本は、
 『太平洋戦争日本語諜報戦』(武田珂代子、ちくま新書)
 『未来をつくる図書館』(菅谷明子、岩波新書)
 『流言のメディア史』(佐藤卓己、岩波新書)
 『脳が壊れた』(鈴木大介、新潮新書)
 『アリストテレス入門』(山口義久、ちくま新書)
第2回の課題本は、第1回で「最も読みたくなった本」を獲得した、
 『未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告』

第3、4回のテーマは「労働」
第3回で発表された本は、
 『勤勉は美徳か?』(大内伸哉、光文社新書)
 『隠された奴隷制』(植村邦彦、集英社新書)
 『なぜ、残業はなくならないのか』(常見陽平、祥伝社新書)
 『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』(辻田真佐憲、光文社新書)
 『新しい労働社会 雇用システムの再構築へ』(濱口桂一郎、岩波新書)
第4回目の課題本は、第3回で「最も読みたくなった本」を獲得した、
 『勤勉は美徳か? 幸福に働き、生きるヒント』

第5、6回のテーマは「医療」
 第6回の課題本は、『心病める人たち 開かれた精神医療へ』(石川信義、岩波新書)

第7,8回のテーマは「人文」
 第8回の課題本は、『グロテスクな教養』(高田里惠子、ちくま新書)

【主催者】
私、連鎖堂です。よろしくお願いします。
普段は弁護士をしています。平日が殺伐としているので、週末の読書会は落ち着いたものにするよう努めてます。

【詳細】
日程 次回は、2020年11月1日(日) 午前10時から13時30分まで
場所 レンタルスペース・ソラニワビル
地下鉄中崎町駅から徒歩3分、阪急梅田駅から徒歩10分
参加費 会場費と昼食(軽食)費とで合計2000円
課題本 『グロテスクな教養』(高田里惠子、ちくま新書)

【参加方法】
tatsuya_wakitaアットyahoo.co.jp
まで、メールください。ぜひお気軽にどうぞ!