2023年5月13日土曜日

候補本リスト_「働きすぎ」を考えるための本


そろそろちょっと、「働きすぎ」について考えないと、ということもあるでしょう。そんなときは!「読書de人生相談」ですよ。

そこで先日のイベント「読書de人生相談」で私が選書しました、働きすぎについて考えるための候補本、12冊をリストアップします。

https://www.instagram.com/p/CsLSgU1vODn/

https://www.instagram.com/p/Cqhsu8Ovyxr/

もし気になりましたら書店か図書館でどうぞ。本は立ち読みしてから入手するのがオススメ! ネットだけじゃどんな本か分からないのですよ。

hontoなら、リンクから「ほしい本に追加」すればスマホで在庫と棚まで示してくれます。(無料会員登録が必要)


ではどうぞ。


第1 残業


【候補本1】

本間 浩輔 (著)

『残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方』(光文社新書)

https://honto.jp/netstore/pd-book_29137535.html

【「TRC MARC」の商品解説】

「企業が勝つため」「社員が幸せになるため」の希望に満ちた働き方改革論。「1on1」「どこでもオフィス」など、数々の人事施策を提唱してきたヤフー常務執行役員が、「新しい働き方」と「新・成果主義」を徹底解説する。

【書評等情報】

2019-02-09日本経済新聞朝刊評者:中原淳(立教大学教授)


【候補本2】

中原 淳 (著)、パーソル総研 (著)

『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(光文社新書)

https://honto.jp/netstore/pd-book_29394822.html

【「TRC MARC」の商品解説】

なぜ日本人は長時間労働をしているのか。歴史、習慣、システム、働く人の思い…2万人を超える調査データを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明する。「希望の残業学」プロジェクトを書籍化。

【書評等情報】

中沢孝夫日経新聞2019年1月10日「目利きが選ぶ3冊」 白河桃子書評サンデー毎日2019年2月17日 城繁幸書評ブログ2019年2月25日


第2 働きすぎない秘訣・段取り


【候補本3】

堀内 都喜子 (著)

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)

https://honto.jp/netstore/pd-book_30002342.html

【「TRC MARC」の商品解説】

ワークライフバランス世界1位! 仕事、家庭、趣味、勉強…。フィンランド人はなんにでも貪欲。同時に、睡眠時間は平均7時間半以上。やりたいことはやる、でもゆとりのあるフィンランド流の働き方&生き方の秘訣を紐解く。

【書評等情報】

出口治明:帯推薦文


【候補本4】

熊谷 徹 (著)

『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか 7割テレワークでも生産性が日本の1.5倍の秘密』(SB新書)

https://honto.jp/netstore/pd-book_30862135.html

【「TRC MARC」の商品解説】

コロナ危機勃発以降、テレワークが急速に広まったドイツ。好きな場所、好きな時間に働いて、効率よく成果を出す。ワークライフバランスを高める…。ドイツに30年以上暮らす著者が、ドイツ人流・消耗しない働き方を教える。

【書評等情報】

同著者先行書『日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ』への小林雅一書評朝日新聞2017年6月11日


【候補本5】

坂田 幸樹 (著)

『超速で成果を出すアジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方』

https://honto.jp/netstore/pd-book_31646927.html

【「TRC MARC」の商品解説】

答えのない時代にすばやく成果を出すためには。自らの人生を設計して成果を出していくために必要とされる働き方を、グローバルで活躍するプロフェッショナルたちの事例を交えながら伝授する。

【書評等情報】

細谷功:帯推薦文


【候補本6】

佐々木 かをり (著)

『計画力おもしろ練習帳 7週間書き込み式 新装版』

https://honto.jp/netstore/pd-book_28555150.html

【「TRC MARC」の商品解説】

「だらだら」「ぐずぐず」しがちな夏休み中の子どもにとって、勉強以前に大切な「計画する力」に効果抜群の1冊。7つのステップで考える子・言われる前に動ける子に変わります。2児の母であり、2つの会社を経営、活躍中の著者が実践している時間管理術を子ども用にアレンジ。学校でも塾でも教えてくれない計画の立て方、修正の仕方が身につきます。大好評の初版をもとに、読者やリピーターの声を反映して、より見やすく使い勝手よく、改良しました。楽しいイラストやシール、1週間ごとのコラムなど、続ける工夫も満載なので、飽きっぽいお子さんでも大丈夫!夏休みの7週間(49日間)分の書き込み式計画表に加え、ごほうびシール426枚、保護者用「本書の目的と使い方」冊子つきです。

【書評等情報】

齋藤孝:帯推薦文


第3 働き方改革


【候補本7】

中山 義人 (著)

『なぜ、あなたの「働き方改革」は続かないのか? 本当の「働き方改革」を実現する業務プロセスのデジタル化』

https://honto.jp/netstore/pd-book_28820608.html

【「TRC MARC」の商品解説】

「労働時間の長さで収入を増やす時代は過ぎ去った」「多様な働き方を認め、短時間で高い付加価値を生み出す」などの主張をもとに、デジタル化時代に向けた働き方改革を提示する。企業の先進的な事例も紹介。

【書評等情報】

森川博之:帯推薦文


【候補本8】

森永 雄太 (著)

『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 健康経営の新展開』

https://honto.jp/netstore/pd-book_29496964.html

【「TRC MARC」の商品解説】

従業員のモチベーション向上が生産性を上げる! 健康経営をより拡張的にとらえた「ウェルビーイング経営」という考え方とその取り組み方について紹介。先進事例も取り上げる。

【書評等情報】

加護野忠男エコノミストon-line2019年4月5日


【候補本9】

海老原 嗣生 (著)

『人事の組み立て 脱日本型雇用のトリセツ 欧米のモノマネをしようとして全く違うものになり続けた日本の人事制度』

https://honto.jp/netstore/pd-book_30889792.html

【「TRC MARC」の商品解説】

本気で日本型雇用を変えるためには、雇用システム・人事を隅々まで理解して、根治を目指さなければならない。欧米と日本の雇用システムの違い、日本型雇用につきまとう社会問題を解説し、最適な人事管理術を提案する。

【書評等情報】

古市憲寿:帯推薦文


第4 労働法


【候補本10】

佐々木 亮 (著)

『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』

https://honto.jp/netstore/pd-book_30887431.html

【「TRC MARC」の商品解説】

労働に関連する多くのトラブルで、働く側(労働者)が泣き寝入りをしている。働く人のための「労働法」という強力な「武器」がどのようなものであり、どう使って戦えばよいのかを、雇用形態別に解説する。

【書評等情報】

2021-06-26日本経済新聞朝刊評者:本田由紀(教育社会学者)


第5 働きすぎの背景


【候補本11】

礫川 全次 (著)

『日本人はいつから働きすぎるようになったのか 〈勤勉〉の誕生』(平凡社新書)

https://honto.jp/netstore/pd-book_26255012.html

【「TRC MARC」の商品解説】

常態化した長時間労働、進んで引き受けるサービス残業…。日本人を「勤勉」に駆りたててきたものは何か? 二宮尊徳、吉田松陰、松下幸之助といった勤勉家を通して、自発的隷従のメカニズムを解説する。

【書評等情報】

小谷敏北海道新聞2014年10月7日


【候補本12】

デヴィッド・グレーバー (著)

『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』

https://honto.jp/netstore/pd-book_30371305.html

【「TRC MARC」の商品解説】

紀伊國屋じんぶん大賞(2021) なぜ社会の役に立つ仕事ほど低賃金なのか。私たちの世界をむしばむブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)の実態と弊害とメカニズムを、証言・人文知等を駆使しながら解明、理論化。仕事のほんとうの「価値」を再考する。

【書評等情報】

2020-12-26日本経済新聞朝刊評者:陣野俊史(批評家) 2020-12-26朝日新聞朝刊評者:藤原辰史(京都大学准教授) 2020-12-12毎日新聞朝刊評者:中島岳志(東京工業大学教授・政治学) 2020-12-12毎日新聞朝刊評者:伊藤亜紗(東京工業大学准教授・美学) 2020-09-12毎日新聞朝刊評者:伊藤亜紗(美学者 2020-10-31朝日新聞朝刊評者:本田由紀(東京大学教授・教育社会学) 2020-08-29東京新聞/中日新聞朝刊評者:平川克美(評論家) 服部茂幸週刊エコノミスト(2020-11-24)54頁 津村記久子週刊文春(2020-10-22)103頁 ブレイディみかこ週刊エコノミスト(2020-10-13)55頁 山口周プレジデント(2020-10-16)103頁 内田樹AERA(2020-09-14)5頁 

          


 6冊目はネタですが…。でも役立つかもしれない。

 本を探すのって、楽しいですね! お酒好きの人は「ビールなら何杯でも飲める」とか言いますが、私に言わせれば、本を探すのなら何時間でもできる。ほとんどトランス状態に入ることがあります。

 そのようなわけですので、働きすぎのほかにも、「こんな悩みに応える本が知りたい」というかた、いらっしゃいましたら、メッセージください。ちょっとお時間いただければ、書評つきで選書します! 

2023年3月3日金曜日

読書会紹介


大阪で読書会を開催しています。   
現在は、新書(岩波新書・中公新書・講談社現代新書ほか、各社新書レーベル)限定で行っています。     

雰囲気はなごやかでざっくばらんです。  
参加者は会社員・学生の方々、人数は毎回8名程度です。 
テーマについて深く、かつ多様に考えることのできる読書会としたいです。  

【進め方】
奇数回と偶数回で異なります。

奇数回は、参加者それぞれがおすすめの新書を紹介する、紹介型の読書会です。ビブリオバトルのルールに従ってやってます。発表でも投票のみでも参加可能です。ビブリオバトルについてはこちら

偶数回は、前回紹介された本の中から選ばれた1冊をみんなで読む、課題本型の読書会。読んで感銘を受けたページを指摘しながら、自分の読みを概ね5分ずつ語る(短くても可、パスも可)、というような形でやってます。

【主催者】
私、連鎖堂です。よろしくお願いします。
普段は弁護士をしています。平日が殺伐としているので、週末の読書会は落ち着いたものにするよう努めてます。

【詳細】
日程 原則毎月第4土曜日 午前10時から13時00分まで
場所 大阪市北区のレンタルキッチン
参加費 会場費と昼食(軽食)費とで合計2000円

【参加方法】
tatsuya_wakitaアットyahoo.co.jp
まで、メールください。ぜひお気軽にどうぞ!

【今までのテーマ】
第1、2回のテーマは「情報」
第1回で発表された本は、
 『太平洋戦争日本語諜報戦』(武田珂代子、ちくま新書)
 『未来をつくる図書館』(菅谷明子、岩波新書)
 『流言のメディア史』(佐藤卓己、岩波新書)
 『脳が壊れた』(鈴木大介、新潮新書)
 『アリストテレス入門』(山口義久、ちくま新書)
第2回の課題本は、第1回で「最も読みたくなった本」を獲得した、
 『未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告』

第3、4回のテーマは「労働」
第3回で発表された本は、
 『勤勉は美徳か?』(大内伸哉、光文社新書)
 『隠された奴隷制』(植村邦彦、集英社新書)
 『なぜ、残業はなくならないのか』(常見陽平、祥伝社新書)
 『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』(辻田真佐憲、光文社新書)
 『新しい労働社会 雇用システムの再構築へ』(濱口桂一郎、岩波新書)
第4回目の課題本は、第3回で「最も読みたくなった本」を獲得した、
 『勤勉は美徳か? 幸福に働き、生きるヒント』

第5、6回のテーマは「医療」
 第6回の課題本は、『心病める人たち 開かれた精神医療へ』(石川信義、岩波新書)

第7、8回のテーマは「人文」
 第8回の課題本は、『グロテスクな教養』(高田里惠子、ちくま新書)

第9、10回のテーマは「進化」
 第10回の課題本は、『「退化」の進化学』(犬塚則久、ブルーバックス)

第11、12回のテーマは「米国_現代」
 第12回の課題本は、『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容、光文社新書)

第13、14回のテーマは「宇宙」
 第14回の課題本は、『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』(谷口義明、光文社新書)

第15、16回のテーマは「キリスト教」
 第16回の課題本は、『キリスト教は邪教です!』(ニーチェ、講談社+α新書)

第17、18回のテーマは「家計」
 第18回の課題本は、『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』(小島庸平、中公新書)

第19、20回のテーマは「脳科学」
 第20回の課題本は、『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 心理学的決定論』(妹尾武治、光文社新書)

2021年9月20日月曜日

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)を読んだ。

 ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力を発見した、って、ちょっと何言ってるか分からない。本当はこう。

 ケプラーは水金火木土星全て、公転周期の2乗が太陽との距離の3乗に比例することを発見していました。またニュートンは円運動で生じる中心へ引く力(向心加速度)を解明しました。式を変形すると、太陽が惑星を引く力は距離2乗の反比例で弱まる。ここで地球が月を引く力と、地表の重力加速度も、おお、地球中心からの距離2乗の反比例で弱まってる。なんと太陽も地球も引く力は同様だ。重力を発見した!

2021年9月13日月曜日

『人を伸ばす力 内発と自律のすすめ』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)

『人を伸ばす力 内発と自律のすすめ』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)

『人を伸ばす力 内発と自律のすすめ』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)を読んだ。

 我が子の勉強や、従業員の仕事の質を上げるため、どうやって動機づけるか。そういう問題の立て方、のっけから断然間違ってます。なんとなれば、逆から考えろ。他人から動機付けされたら、やる気、出ないでしょう。研究によれば、「したくないだろうとも、してもらいたい」と、矛盾を正直に認めたほうが、自律性が阻害されにくいのです。

 その他、報酬を設定されると、やる気が削がれることがある。競争を設定されると、サクラで勝たせても、やる気が削がれることがある。人をなめたらアカン、と思ったことでした。

2021年9月8日水曜日

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)を読んだ。

 考えさせる力が強い本です。グローバル経済は世界各地の文化的独自性を、現実に削いでいる。では、ハリウッド映画やショッピングモールは悪か。

 例えばパプアにモールができれば、パプアの独自性は失われ、美術コレクターの選択肢は狭まるでしょう。しかし、パプア人の選択肢を狭いままにしておけというのは正しくない。また、「社会集団間の多様性」が減っても、「社会内部の個人にとっての多様性」は増えうるし、そのほうが人々が自分に噛み合う文化を獲得しやすい。現に狭くても深い文化は増えている、という。

2021年9月1日水曜日

『AI原論 神の支配と人間の自由』(西垣通)

『AI原論 神の支配と人間の自由』(西垣通)

『AI原論 神の支配と人間の自由』(西垣通)を読んだ。

 哲学的に、AIと生命は別物。面白い。けど同意できない。生命は全く新しい状況でも生き抜こうとする。そのとき、自分でもどう動くか計算できない。対してAIは、常に過去の確率に従う。複雑でも原理的にはどう動くか計算できる。「不可知であることが、生命体の本質なのである」。

 うーん、不可知はそんなに「本質」か。蝶の動きが予測不能なのは補食されないため(D・デネット)。ありふれたシステムの振る舞いでも予測不能になりうる(前野隆司)。だったらAIも、自己保存するなら不可知になりうるのでは。

2021年8月30日月曜日

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)を読んだ。

 超面白い。歴史の本質まで迫る勢いです。フランス革命は要するに血まみれの大惨事であり、恐怖政治は半年で4万人を殺し、続く内乱では30万人が死亡しました。「人間は、生まれながらにして、自由であり、権利において平等である」とする人権宣言から、数年後には恐怖政治。なぜそうなるか。

 革命の前半は良く、後半暴走したと解するのがありがちですが、そんなのは事実に反します。男子普通選挙が実現したのも、生存権が登場したのも、恐怖政治下です。人権宣言も恐怖政治も、一体としてフランス革命なのです。