大阪の読書会「連鎖堂」
大阪で新書の読書会を開催しています。
2023年8月30日水曜日
第36回読書会 ビブリオバトル・テーマ「不安に対処するための新書」
2023年8月19日土曜日
みんなの尼崎大学 サマーセミナー「本の新しい選び方」
2023年7月24日月曜日
読書会紹介

2023年7月22日土曜日
特別回3回 『ネガティブ・ケイパビリティ』
- ウイルフレッド・R・ビオン(精神科医)の言葉「ネガティブ・ケイパビリティが保持するのは、形のない、無限の、言葉ではいい表わしようのない、非存在の存在です。この状態は、記憶も欲望も理解も捨てて、初めて行き着けるのだと結論づけます」(58頁)の部分、映画「2001年宇宙の旅」を思い出した。この映画は、人工知能HALが狂って危機に陥ったとき、HALの記憶を抜いていくことによって航行を継続でき、ついに木星=ジュピター(理性の象徴)を超えて進んでいくんですが、そこから終わりまでの圧倒的な映像を思い出すだけでもドーパミンが出る。この映画は、何故か特に男性が色々と解釈しようとしてくれるけど、解釈なんかしないほうが、あの謎を楽しめると思った。
- Hさん その映画にはカタルシスはあるんですか?
- Aさん カタルシスを求めることはネガティブケイパビリティの対極にあるのよ!
- 理解しにくいところもあり、ネガティブ・ケイパビリティを学ぶことでネガティブ・ケイパビリティが鍛えられる、と思った。
- なぜ理解しにくいか考えてみたところ、「否定」の難しさがあるのではないか。否定というのは抽象的なので。ただ、否定神学(「神は何でないか」から考える神学)など、否定から切り込むことはありうるかもしれない。
- 自分の人生の選択で考えてみると、「こうやったことで解決したんだ」と自分に言い聞かせていたところがあったが、ネガティブ・ケイパビリティの考え方で、こういう言い聞かせをやめることができたように思う。
- ビブリオバトルで紹介してもらって読んで以来、もう4回も読んだ。しんどいときには読むようにしている。周りの、潰れそうな方にも薦めている。
- 私は行方を案じすぎてしまうんですが、この本で、解決だけを求めないということを学んだ。今のその時を楽しんで味わえればよいというような。
- 研究に必要な「運・鈍・根」はネガティブ・ケイパビリティに通じているという話(194頁)が印象的だった。昔、科研費をいただいたとき、結果が出なくてすごく焦った。そのときは利根川進さんの本を読んで耐えようと思ったが・・・。社会に余裕がないと、学問の大きな成果は出ないと思う。
- 私は何でも分かりたがる、答えを求めてしまうタイプなので、しんどいことが多い。
- Hさん でも、Dさんが撮らはった映画は、むしろ答えを示してなかったような・・・。
- Dさん 作り手となると違うんです。そういえば、私が一番好きなチェロの「無伴奏チェロ曲」は、よくわからないのにそのまま受け止めることができた。
- 6頁で「何かを処理して問題解決をする能力ではなく、そういうことをしない能力」とネガティブケイパビリティの概念が書かれているので、理解したつもりで読み進めていったが、メルケル首相など具体例がいろいろ出てくるとよくわからなくなった。ただ78頁でポジティブケイパビリティについてとの比較の記載を読むまでは「ネガティブ」と「ネイティブ」を読み違えていたこともあり「人間に本来備わる」というような良い意味に捉えて読むことができた。
- 自然療法で学んでいる聖ヒルデガルドやバッチ博士の著書によく「中庸であれ」という言葉が出てくる。それに通じるものがあるので、今後理解が深まると思う。
- なんでもすぐ検索して、答えを言う人が苦手です。黒井千次「知り過ぎた人」の話(75頁)にはとても共感できた。そんなにすぐ答えなくてもいいのに、と思う。
- 広い視野、「頂点」を持つ(57-58頁)というのも共感できた。人にはそれぞれ、考え方や性格など良いところがある。頂点を意識して人と接したいと思っている。
- ネガティブ・ケイパビリティには、少なくとも2つの意味があると思う。①解釈しないという意味と、②答えを出さないという意味(いわば待機戦略)。これを今一歩、分別できてないのではないか。
- 私としては①を、自動的に生じうる解釈を止めることは可能かという意味でもっと知りたかったが、なしくずしに②の話が混じってきてしまっている。
- 世の中には、そう簡単に解決できない問題が満ち満ちている(192頁)というのが、強く同感。
- 私は弁護士だし、もともとは完全に問題解決志向。客観的な問題が解決すれば、全て解決する。なんなら、主観なんてない、みたいな。しかし、ちゃんと勝てなかった案件でも感謝されることはあるし、勝訴しても真の問題はぜんぜん解決してないこともある。職種が違うんで、解決を目指さないことはないけど、私が入ることによって、マシになる案件なら、入る意味があると思った。
2023年6月24日土曜日
第34回読書会 『給食の歴史』
- 好きだった給食は、ソフト麺のカレー掛け。ソフト麺は本書では評価がイマイチ(213-214、231頁)だが、おいしかった印象。
- 給食の苦い思い出は、レトルトパウチのハンバーグが、学期の終わりに机の中から出て来たという。
- 富国強兵の尻尾ともいえる初期の給食の目標、日本人の「体格」向上(158頁)は、ある程度実現したかもしれないが、西洋人のような高身長をめざすというのは、そもそも無理筋だったのでは。
- 世界史の一部としての給食、というオチ(257頁)は、やはり印象的。身近な事柄も、戦後史、世界史に繋がっていくものなんだなという感慨を得た。
- 好きだった給食は、カレーについていたフルーツヨーグルト。
- 嫌いだった給食は、レバー、その他いろいろ。給食を食べきらないと席を立てない決まりだったので、昼休みに遊べないまま残飯と向き合って過ごすという嫌な思い出が。
- 給食の二面性、ヤヌス性(子どもを守るのか、子どもを自立させるのか、123頁など)がよく書かれていて面白かった。例えば、給食の無償化はセーフティネットになりうるが、無償化によって恩恵感が生じて異議をいいにくくなる側面もあるなど。というか、給食にはやっぱり闇があったんだ、よかった、と思った。
- 好きだった給食はカレー。匂いだけでわくわくした。
- 嫌いだった給食は、春雨とベーコンのマヨネーズ和え。あと、どう考えても牛乳とご飯は合わない。
- アレルギーがあっても皆と同じものを食べなければならないという指導(1970年代、204頁)など、給食には、みんなと同じことをするのが当然、個人の例外を許さないという、日本の特性が現れているように思った。
- あと、どう考えても牛乳に固執しすぎ。
- 好きだった給食は、揚げパン、コーヒー牛乳(粉末を混ぜるバージョン)
- 嫌いだった給食は、蛍光黄色の汁まみれの沢庵と、煮すぎてボソボソの冷たいレバー生姜煮とを、一つの皿に盛るため混ざり合って、えもいわれぬまずさだったやつ。おかげで今でも沢庵が嫌い。
- 著者がオチで言う(251-253、260頁)とおり、「運動史」としての側面が面白かった。歴史は下部構造によって「自然に」変わるような印象をもっていたが、文部省(裏工作含む)なり、佐藤栄作(人気取り含む)なり、学校栄養職員・調理員・教師・保護者等々のセンター方式反対運動なり、歴史は具体的な人々によって「人為的に」変わるんだな、と思った。というか、文部省って「運動」するんだ。
- 好きだった給食はオレンジゼリー。
- 嫌いだった給食は、公立幼稚園で出た牡蠣。苦すぎ。
- 正直、話が細かいと思った。脱脂粉乳のくだりが興味を引かれた。
- 好きだったというか、マシだった給食はカレー。
- 嫌いだった給食は、野菜まみれの煮物など、野菜全般。当時好きだった隣の席の男の子は肉嫌いで、よく交換していた。
- 戦中・敗戦後の栄養不足、欠食がやはり印象的。東條英機の、「食うものが足りないと不足を唱うる事は、私には解せないところでありまして」(59頁)とか。フーヴァー元大統領が、「このままでは日本国民の栄養水準はドイツの強制収容所と変わらない」と警告を発した(89頁)など。
- 給食と再軍備(自衛隊)とが結びついていた(153-155頁)というのも驚き。アメリカの余剰農作物の処理を兼ねた食料・軍事・経済援助と、自由社会防衛のための自国防衛力増強のセット、MSA(相互安全保障法)など。
2023年5月27日土曜日
第33回読書会 ビブリオバトル・テーマ「食」
2023年5月13日土曜日
候補本リスト_「働きすぎ」を考えるための本
そろそろちょっと、「働きすぎ」について考えないと、ということもあるでしょう。そんなときは!「読書de人生相談」ですよ。
そこで先日のイベント「読書de人生相談」で私が選書しました、働きすぎについて考えるための候補本、12冊をリストアップします。
https://www.instagram.com/p/CsLSgU1vODn/
https://www.instagram.com/p/Cqhsu8Ovyxr/
もし気になりましたら書店か図書館でどうぞ。本は立ち読みしてから入手するのがオススメ! ネットだけじゃどんな本か分からないのですよ。
hontoなら、リンクから「ほしい本に追加」すればスマホで在庫と棚まで示してくれます。(無料会員登録が必要)
ではどうぞ。
第1 残業
【候補本1】
本間 浩輔 (著)
『残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方』(光文社新書)
https://honto.jp/netstore/pd-book_29137535.html
【「TRC MARC」の商品解説】
「企業が勝つため」「社員が幸せになるため」の希望に満ちた働き方改革論。「1on1」「どこでもオフィス」など、数々の人事施策を提唱してきたヤフー常務執行役員が、「新しい働き方」と「新・成果主義」を徹底解説する。
【書評等情報】
2019-02-09日本経済新聞朝刊評者:中原淳(立教大学教授)
【候補本2】
中原 淳 (著)、パーソル総研 (著)
『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(光文社新書)
https://honto.jp/netstore/pd-book_29394822.html
【「TRC MARC」の商品解説】
なぜ日本人は長時間労働をしているのか。歴史、習慣、システム、働く人の思い…2万人を超える調査データを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明する。「希望の残業学」プロジェクトを書籍化。
【書評等情報】
中沢孝夫日経新聞2019年1月10日「目利きが選ぶ3冊」 白河桃子書評サンデー毎日2019年2月17日 城繁幸書評ブログ2019年2月25日
第2 働きすぎない秘訣・段取り
【候補本3】
堀内 都喜子 (著)
『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)
https://honto.jp/netstore/pd-book_30002342.html
【「TRC MARC」の商品解説】
ワークライフバランス世界1位! 仕事、家庭、趣味、勉強…。フィンランド人はなんにでも貪欲。同時に、睡眠時間は平均7時間半以上。やりたいことはやる、でもゆとりのあるフィンランド流の働き方&生き方の秘訣を紐解く。
【書評等情報】
出口治明:帯推薦文
【候補本4】
熊谷 徹 (著)
『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか 7割テレワークでも生産性が日本の1.5倍の秘密』(SB新書)
https://honto.jp/netstore/pd-book_30862135.html
【「TRC MARC」の商品解説】
コロナ危機勃発以降、テレワークが急速に広まったドイツ。好きな場所、好きな時間に働いて、効率よく成果を出す。ワークライフバランスを高める…。ドイツに30年以上暮らす著者が、ドイツ人流・消耗しない働き方を教える。
【書評等情報】
同著者先行書『日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ』への小林雅一書評朝日新聞2017年6月11日
【候補本5】
坂田 幸樹 (著)
『超速で成果を出すアジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方』
https://honto.jp/netstore/pd-book_31646927.html
【「TRC MARC」の商品解説】
答えのない時代にすばやく成果を出すためには。自らの人生を設計して成果を出していくために必要とされる働き方を、グローバルで活躍するプロフェッショナルたちの事例を交えながら伝授する。
【書評等情報】
細谷功:帯推薦文
【候補本6】
佐々木 かをり (著)
『計画力おもしろ練習帳 7週間書き込み式 新装版』
https://honto.jp/netstore/pd-book_28555150.html
【「TRC MARC」の商品解説】
「だらだら」「ぐずぐず」しがちな夏休み中の子どもにとって、勉強以前に大切な「計画する力」に効果抜群の1冊。7つのステップで考える子・言われる前に動ける子に変わります。2児の母であり、2つの会社を経営、活躍中の著者が実践している時間管理術を子ども用にアレンジ。学校でも塾でも教えてくれない計画の立て方、修正の仕方が身につきます。大好評の初版をもとに、読者やリピーターの声を反映して、より見やすく使い勝手よく、改良しました。楽しいイラストやシール、1週間ごとのコラムなど、続ける工夫も満載なので、飽きっぽいお子さんでも大丈夫!夏休みの7週間(49日間)分の書き込み式計画表に加え、ごほうびシール426枚、保護者用「本書の目的と使い方」冊子つきです。
【書評等情報】
齋藤孝:帯推薦文
第3 働き方改革
【候補本7】
中山 義人 (著)
『なぜ、あなたの「働き方改革」は続かないのか? 本当の「働き方改革」を実現する業務プロセスのデジタル化』
https://honto.jp/netstore/pd-book_28820608.html
【「TRC MARC」の商品解説】
「労働時間の長さで収入を増やす時代は過ぎ去った」「多様な働き方を認め、短時間で高い付加価値を生み出す」などの主張をもとに、デジタル化時代に向けた働き方改革を提示する。企業の先進的な事例も紹介。
【書評等情報】
森川博之:帯推薦文
【候補本8】
森永 雄太 (著)
『ウェルビーイング経営の考え方と進め方 健康経営の新展開』
https://honto.jp/netstore/pd-book_29496964.html
【「TRC MARC」の商品解説】
従業員のモチベーション向上が生産性を上げる! 健康経営をより拡張的にとらえた「ウェルビーイング経営」という考え方とその取り組み方について紹介。先進事例も取り上げる。
【書評等情報】
加護野忠男エコノミストon-line2019年4月5日
【候補本9】
海老原 嗣生 (著)
『人事の組み立て 脱日本型雇用のトリセツ 欧米のモノマネをしようとして全く違うものになり続けた日本の人事制度』
https://honto.jp/netstore/pd-book_30889792.html
【「TRC MARC」の商品解説】
本気で日本型雇用を変えるためには、雇用システム・人事を隅々まで理解して、根治を目指さなければならない。欧米と日本の雇用システムの違い、日本型雇用につきまとう社会問題を解説し、最適な人事管理術を提案する。
【書評等情報】
古市憲寿:帯推薦文
第4 労働法
【候補本10】
佐々木 亮 (著)
『会社に人生を振り回されない 武器としての労働法』
https://honto.jp/netstore/pd-book_30887431.html
【「TRC MARC」の商品解説】
労働に関連する多くのトラブルで、働く側(労働者)が泣き寝入りをしている。働く人のための「労働法」という強力な「武器」がどのようなものであり、どう使って戦えばよいのかを、雇用形態別に解説する。
【書評等情報】
2021-06-26日本経済新聞朝刊評者:本田由紀(教育社会学者)
第5 働きすぎの背景
【候補本11】
礫川 全次 (著)
『日本人はいつから働きすぎるようになったのか 〈勤勉〉の誕生』(平凡社新書)
https://honto.jp/netstore/pd-book_26255012.html
【「TRC MARC」の商品解説】
常態化した長時間労働、進んで引き受けるサービス残業…。日本人を「勤勉」に駆りたててきたものは何か? 二宮尊徳、吉田松陰、松下幸之助といった勤勉家を通して、自発的隷従のメカニズムを解説する。
【書評等情報】
小谷敏北海道新聞2014年10月7日
【候補本12】
デヴィッド・グレーバー (著)
『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』
https://honto.jp/netstore/pd-book_30371305.html
【「TRC MARC」の商品解説】
紀伊國屋じんぶん大賞(2021) なぜ社会の役に立つ仕事ほど低賃金なのか。私たちの世界をむしばむブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)の実態と弊害とメカニズムを、証言・人文知等を駆使しながら解明、理論化。仕事のほんとうの「価値」を再考する。
【書評等情報】
2020-12-26日本経済新聞朝刊評者:陣野俊史(批評家) 2020-12-26朝日新聞朝刊評者:藤原辰史(京都大学准教授) 2020-12-12毎日新聞朝刊評者:中島岳志(東京工業大学教授・政治学) 2020-12-12毎日新聞朝刊評者:伊藤亜紗(東京工業大学准教授・美学) 2020-09-12毎日新聞朝刊評者:伊藤亜紗(美学者 2020-10-31朝日新聞朝刊評者:本田由紀(東京大学教授・教育社会学) 2020-08-29東京新聞/中日新聞朝刊評者:平川克美(評論家) 服部茂幸週刊エコノミスト(2020-11-24)54頁 津村記久子週刊文春(2020-10-22)103頁 ブレイディみかこ週刊エコノミスト(2020-10-13)55頁 山口周プレジデント(2020-10-16)103頁 内田樹AERA(2020-09-14)5頁
6冊目はネタですが…。でも役立つかもしれない。
本を探すのって、楽しいですね! お酒好きの人は「ビールなら何杯でも飲める」とか言いますが、私に言わせれば、本を探すのなら何時間でもできる。ほとんどトランス状態に入ることがあります。
そのようなわけですので、働きすぎのほかにも、「こんな悩みに応える本が知りたい」というかた、いらっしゃいましたら、メッセージください。ちょっとお時間いただければ、書評つきで選書します!