
大阪の読書会「連鎖堂」
大阪で新書の読書会を開催しています。
2023年3月3日金曜日
読書会紹介

2021年9月20日月曜日
『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)
『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)を読んだ。
ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力を発見した、って、ちょっと何言ってるか分からない。本当はこう。
ケプラーは水金火木土星全て、公転周期の2乗が太陽との距離の3乗に比例することを発見していました。またニュートンは円運動で生じる中心へ引く力(向心加速度)を解明しました。式を変形すると、太陽が惑星を引く力は距離2乗の反比例で弱まる。ここで地球が月を引く力と、地表の重力加速度も、おお、地球中心からの距離2乗の反比例で弱まってる。なんと太陽も地球も引く力は同様だ。重力を発見した!
2021年9月13日月曜日
『人を伸ばす力 内発と自律のすすめ』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)
『人を伸ばす力 内発と自律のすすめ』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)を読んだ。
我が子の勉強や、従業員の仕事の質を上げるため、どうやって動機づけるか。そういう問題の立て方、のっけから断然間違ってます。なんとなれば、逆から考えろ。他人から動機付けされたら、やる気、出ないでしょう。研究によれば、「したくないだろうとも、してもらいたい」と、矛盾を正直に認めたほうが、自律性が阻害されにくいのです。
その他、報酬を設定されると、やる気が削がれることがある。競争を設定されると、サクラで勝たせても、やる気が削がれることがある。人をなめたらアカン、と思ったことでした。
2021年9月8日水曜日
『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)
『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)を読んだ。
考えさせる力が強い本です。グローバル経済は世界各地の文化的独自性を、現実に削いでいる。では、ハリウッド映画やショッピングモールは悪か。
例えばパプアにモールができれば、パプアの独自性は失われ、美術コレクターの選択肢は狭まるでしょう。しかし、パプア人の選択肢を狭いままにしておけというのは正しくない。また、「社会集団間の多様性」が減っても、「社会内部の個人にとっての多様性」は増えうるし、そのほうが人々が自分に噛み合う文化を獲得しやすい。現に狭くても深い文化は増えている、という。
2021年9月1日水曜日
『AI原論 神の支配と人間の自由』(西垣通)
『AI原論 神の支配と人間の自由』(西垣通)を読んだ。
哲学的に、AIと生命は別物。面白い。けど同意できない。生命は全く新しい状況でも生き抜こうとする。そのとき、自分でもどう動くか計算できない。対してAIは、常に過去の確率に従う。複雑でも原理的にはどう動くか計算できる。「不可知であることが、生命体の本質なのである」。
うーん、不可知はそんなに「本質」か。蝶の動きが予測不能なのは補食されないため(D・デネット)。ありふれたシステムの振る舞いでも予測不能になりうる(前野隆司)。だったらAIも、自己保存するなら不可知になりうるのでは。
2021年8月30日月曜日
『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)
『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)を読んだ。
超面白い。歴史の本質まで迫る勢いです。フランス革命は要するに血まみれの大惨事であり、恐怖政治は半年で4万人を殺し、続く内乱では30万人が死亡しました。「人間は、生まれながらにして、自由であり、権利において平等である」とする人権宣言から、数年後には恐怖政治。なぜそうなるか。
革命の前半は良く、後半暴走したと解するのがありがちですが、そんなのは事実に反します。男子普通選挙が実現したのも、生存権が登場したのも、恐怖政治下です。人権宣言も恐怖政治も、一体としてフランス革命なのです。
2021年3月4日木曜日
『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)
『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)を読んだ。
日本の著作権法の法定刑は、世界で一番厳しい。なんと窃盗と同等です。盗みは誰でも悪いと思うでしょうが、コピーを配るのが同じくらい悪いのか。著作権法の第一人者、中山信弘曰く、「法改正としては極めて遺憾である」。本書では、法改正が実際いかになされているかを観察できます。
文化の創成と拡散にとって、コピーは不可欠な要素です。ところが業界側は、文化を商品カテゴリーの一種だと思っています。そして、普通の人がやっていることを犯罪にしようとしています。法で犯罪を創る。それは法匪の発想です。