2020年11月26日木曜日

『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』(マーシャ・ガッセン)

『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』(マーシャ・ガッセン)

『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』(マーシャ・ガッセン)を読んだ。

 超面白い。数学の記念碑的難問「ポアンカレ予想」には、賞金1億円がかけられました。それを辛苦のすえ証明したペレルマンは、しかし賞金もフィールズ賞も拒絶し、隠遁してしまいました。なぜ。

 「我々の社会でエリート教育は許されない」という旧ソ連に、奇跡的に残された数学アカデミーで育ち、数学の純粋さを信じるペレルマンには、数学と金や賞は、結びついてはならないものだったのです。数学は数学のためにある。この世で数人しか理解できなくても、正しい数学は正しい。分かりやすいなんて、低俗なことだ。

2020年11月24日火曜日

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット)

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット)


『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット)を読んだ。

 超面白い。2017年米国でロビー活動に最も金を出したのはどの会社? トランプのSNS選挙対策室でケンブリッジ・アナリティカ(個人情報を使う選挙コンサル)と協働したのはどの会社? 答えはGoogle。昔ならプロパガンダと呼ばれた手法をテックで洗練し、時価総額は50兆円を超え、もう既に、権力なのです。

 しかしテック企業は自分を権力側と思っていません。それは彼らの「カリフォルニアン・イデオロギー」。つまりテックの本質は人を解放すると信じているからです。そろそろ無理があるでしょう。

2020年11月20日金曜日

『世界を変えた手紙 パスカル、フェルマーと〈確率〉の誕生』(キース・デブリン)

『世界を変えた手紙 パスカル、フェルマーと〈確率〉の誕生』(キース・デブリン)

 『世界を変えた手紙 パスカル、フェルマーと〈確率〉の誕生』(キース・デブリン)を読んだ。

 確率とは何か。本書で初めて分かりました。

 サイコロ的な確率は直感的に分かりますが、「勝訴する確率」とか、「離婚する確率」とか、一回きりしか起こらないことの「確率」って何でしょうか。それは、無知の定量化(質的にしか表せなさそうなことを数量で表そうとすること)なのです。明日に何が起こるのかは知りえないとしても、何が起こりそうかを定量化しようとすることは可能です。そしてそれを信頼するかは、数学の問題ではなく、どれだけ過去を未来の兆しとして受け取ってよいと考えるかの問題なのです。

2020年11月16日月曜日

『ゴッホの耳 天才画家最大の謎』(バーナデット・マーフィー)

『ゴッホの耳 天才画家最大の謎』(バーナデット・マーフィー)

『ゴッホの耳 天才画家最大の謎』(バーナデット・マーフィー)を読んだ。

 超面白い。ゴッホといえば…。才能や精神異常を情熱的にぶつけて描いた。しかし生前には全く評価されなかった。アルコール(アブサン)中毒。自分の耳を切って娼婦に届けた、という。ところで、これなんとぜんぶ嘘。

 謎解きが面白いですが、それを超える伝記の悦びがあります。「ゴッホは、その不安定な精神状態にもかかわらず独創性の頂点を極めたのであって、決して不安定な精神状態だったから独創性の頂点を極めたわけではない」ことが本当にわかる。そしてゴッホの絵を、さらに深く感じることができるのです。

2020年11月11日水曜日

『セックスと恋愛の経済学 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業』(マリナ・アドシェイド)

『セックスと恋愛の経済学 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業』(マリナ・アドシェイド)

 『セックスと恋愛の経済学 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業』(マリナ・アドシェイド)を読んだ。

 男女の真実。エビデンス付き!

 結婚に背丈は関係ない? 「背の低い男性は結婚も真剣な男女関係も得にくい」「身長170㎝〔フランス男性。日本との平均身長差は5㎝なので日本なら165㎝〕に満たない30歳から39歳までの男性のうち結婚しているのはわずか60%ですが、170~180㎝になると76%が既婚です」。なんだかとっても畜生! 結婚にお金は関係ない? 宝くじで5万ドル以上あてた女性は、その後3年で結婚する率が40%下がります(ちなみに男性の結婚には影響なし)。その他も盛り沢山!

2020年11月9日月曜日

『江戸の読書会 会読の思想史』(前田勉)

『江戸の読書会 会読の思想史』(前田勉)

 『江戸の読書会 会読の思想史』(前田勉)を読んだ。

 超面白い。江戸の会読には、カイヨワの言う「遊び」、アゴーン(平等のチャンスが人為的に設定された競争)とルドゥス(あえて窮屈なルールで困難を解決する喜び)がありました。ていうかそれってまさに、ビブリオバトル!

 儒学も蘭学も権勢や利得に直結しませんでした。これが逆に「貴賤富貴を論ぜず、同輩と為すべき事」(懐徳堂=大阪商人の学問所)となったのです。杉田玄白は『解体新書』訳業の思い出に、「会集の期日は、前日より夜の明くるを待ちかね、児女子の祭見にゆくの心地せり」。なんと素晴らしい。

2020年10月29日木曜日

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』(フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー)

#ハヤカワノンフィクション文庫


『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』(フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー)を読んだ。

 評論家や諜報員の予測が、猿のダーツ投げより的中しない。そんなんでいいのか。そこでガチンコ、予測トーナメント開催です。結果、ボランティア(年間3万円ギフト券)の一部「超予測者」は、高給取りのCIA情報分析官より予測力が高かったという…。超予測者の特徴は、思想信条に縛られないこと、運命論を信じないこと、数学と読書が好きなこと。

 予測力、実に高めたい。でも本当は、10年先の変化を見通すことは「絶対に」できない。予測力や知的柔軟性には価値がある。しかし人の予測には限界があるのです。