ビブリオバトルを開催しました。テーマは「人間関係」。やっぱ、なにもかも、人間関係ですよね! 豊作が期待できる…。
以下の7冊が紹介されました。
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【1冊目】
『「人それぞれ」がさみしい 「やさしく・冷たい」人間関係を考える』(石田光規、ちくまプリマー新書)
ようやく「人それぞれの社会」が到来したのに、息苦しくて生きづらいのは、世間の目で優劣をつけ個人の行動を縛る集団的体質は変わっていないから…ということを丁寧に解説してくれる本です。
「親ガチャ/子ガチャ」を恐れて子どもを産まない選択をするようなエピソードがあったが、私も同様な恐れが大きかったけれど結局「案ずるより産むが易し」だった。リスクを避けて撤退するのと、リスクに飛び込める違いは、どこから生ずるのでしょうか。
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【2冊目】
『パワハラ上司を科学する』(津野香奈美、ちくま新書〉
どういう状況だとパワハラが起こりやすいかなど、パワハラの様々な面について、データに基づいて明らかにしてくれます。このデータ重視が、とても好ましいです。
著者はパワハラ防止の講師もしているんですが、受講者から、「何かパワハラになるか分からないので、部下にはあまり関わらないようにしようと思います」と言われることがあるらしいんです。でも著者によれば、それは全く誤解です。パワハラを最も起こすのは確かに支配型の上司なんですが、放置型の上司の下でもパワハラは生じやすい。適度な関わりが重要なんですね。
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【3冊目】
『夫に死んでほしい妻たち』(小林美希、朝日新書)
夫に死んでほしい。実例がたくさん示されて、恐ろしい本です…。共働きなのに家のことは何もしない夫。投資に暴走して言うことを聞かない夫。離婚するより死んでくれたほうがお得。その他たくさん…。
これは、残業などの日本の労働環境にも原因があるようなんですが、妻に死んでほしい夫はあまりおらず、夫に死んでほしい妻はたくさんいるということは、男性こそ、この本を読む必要があるということですよ…。ぜひ読みましょう。
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【4冊目】
『人間関係のレッスン』(向後善之、講談社現代新書)
いい人でいようっていうのは、実は、いいことではないんです。
いい人でいようという裏には、批判されたくないという気持ちがあります。でも、批判されたくないという気持ちは、しっかりした関係が築けないことにもつながって、最終的には失敗しがちです。しかも難しいのは、いい人は、特に幼少期に親の顔色をうかがって危険を回避してきたという、ある意味で成功体験があるために、失敗を認識しにくくなってしまっているんですね。
その他も、人間関係についてとても実践的な本で、お勧めです。
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【5冊目】
『人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学』(釘原直樹、中公新書)
1対1で綱引きをしたときにその人が出す力を100とすると、2人対2人では93に下がります。そして8人対8人でやると、人はなんと、50の力しか出しません。
ブレインストーミングは多くのアイデアを生みそうで、もてはやされていますが、実は一人一人がそれぞれアイデアを出すほうが、アイデアの量も質も上回ります。
本書には、解決案も載っているのがいいですね。ブレインストーミングなら、途中から1人ずつ、参加人数を増やしていくなどです。
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【6冊目】
『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』(岡田美智男、講談社現代新書)
この表紙の赤いロボットと青いロボットは、ゴミ箱ロボットです。なにをするかというと、ゴミにヨタヨタ近づいていって、その周りでマゴマゴします。マゴマゴするだけ。だけどそれを見るとつい、きれいにしてしまうんですね。
ロボットは高性能であればあるほどいいはずですが、例えば高性能お掃除ロボットがいたとすると、ちょっとゴミが残っているだけで、憎しみまで生じてしまいかねません。ちなみに、ルンバが性能が低かったころからヒットしたのは、そのお世話感がいい感じだったのではないかと。著者によれば、ロボットも、関係性のなかで考えるべきだというのです。面白いです。
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【7冊目】
『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』(三木那由他、光文社新書)
会話というのは、言葉を媒介にして思いを伝えるもの、ではないというのです。
例えば『パタリロ』では言葉とは逆の約束ごとが発生していますし、『同級生』では、好きだという思いは伝わっていても、「好きだ」と言ってほしい気持ちが表現されています。
私は、学術書しか読まないし、腹芸が分からないし、情感がないんですが、そんな私でも、文芸って、やっぱりいいなあと。ぜひみんなで読んでみたい本です。
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さてチャンプ本は…、『人はなぜ集団になると怠けるのか』、『〈弱いロボット〉の思考』、『会話を哲学する』の3冊の決選投票となり…、『〈弱いロボット〉の思考』がチャンプ本となりました! ワーワー!
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料理のほうは新作、ムール貝ワイン蒸しです。なかなかいいのでは。
では次回は、『〈弱いロボット〉の思考』の読書会です! 実に面白そう。来月も楽しみです。ではまた。
以下の7冊が紹介されました。
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【1冊目】
『「人それぞれ」がさみしい 「やさしく・冷たい」人間関係を考える』(石田光規、ちくまプリマー新書)
ようやく「人それぞれの社会」が到来したのに、息苦しくて生きづらいのは、世間の目で優劣をつけ個人の行動を縛る集団的体質は変わっていないから…ということを丁寧に解説してくれる本です。
「親ガチャ/子ガチャ」を恐れて子どもを産まない選択をするようなエピソードがあったが、私も同様な恐れが大きかったけれど結局「案ずるより産むが易し」だった。リスクを避けて撤退するのと、リスクに飛び込める違いは、どこから生ずるのでしょうか。
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【2冊目】
『パワハラ上司を科学する』(津野香奈美、ちくま新書〉
どういう状況だとパワハラが起こりやすいかなど、パワハラの様々な面について、データに基づいて明らかにしてくれます。このデータ重視が、とても好ましいです。
著者はパワハラ防止の講師もしているんですが、受講者から、「何かパワハラになるか分からないので、部下にはあまり関わらないようにしようと思います」と言われることがあるらしいんです。でも著者によれば、それは全く誤解です。パワハラを最も起こすのは確かに支配型の上司なんですが、放置型の上司の下でもパワハラは生じやすい。適度な関わりが重要なんですね。
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【3冊目】
『夫に死んでほしい妻たち』(小林美希、朝日新書)
夫に死んでほしい。実例がたくさん示されて、恐ろしい本です…。共働きなのに家のことは何もしない夫。投資に暴走して言うことを聞かない夫。離婚するより死んでくれたほうがお得。その他たくさん…。
これは、残業などの日本の労働環境にも原因があるようなんですが、妻に死んでほしい夫はあまりおらず、夫に死んでほしい妻はたくさんいるということは、男性こそ、この本を読む必要があるということですよ…。ぜひ読みましょう。
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【4冊目】
『人間関係のレッスン』(向後善之、講談社現代新書)
いい人でいようっていうのは、実は、いいことではないんです。
いい人でいようという裏には、批判されたくないという気持ちがあります。でも、批判されたくないという気持ちは、しっかりした関係が築けないことにもつながって、最終的には失敗しがちです。しかも難しいのは、いい人は、特に幼少期に親の顔色をうかがって危険を回避してきたという、ある意味で成功体験があるために、失敗を認識しにくくなってしまっているんですね。
その他も、人間関係についてとても実践的な本で、お勧めです。
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【5冊目】
『人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学』(釘原直樹、中公新書)
1対1で綱引きをしたときにその人が出す力を100とすると、2人対2人では93に下がります。そして8人対8人でやると、人はなんと、50の力しか出しません。
ブレインストーミングは多くのアイデアを生みそうで、もてはやされていますが、実は一人一人がそれぞれアイデアを出すほうが、アイデアの量も質も上回ります。
本書には、解決案も載っているのがいいですね。ブレインストーミングなら、途中から1人ずつ、参加人数を増やしていくなどです。
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【6冊目】
『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』(岡田美智男、講談社現代新書)
この表紙の赤いロボットと青いロボットは、ゴミ箱ロボットです。なにをするかというと、ゴミにヨタヨタ近づいていって、その周りでマゴマゴします。マゴマゴするだけ。だけどそれを見るとつい、きれいにしてしまうんですね。
ロボットは高性能であればあるほどいいはずですが、例えば高性能お掃除ロボットがいたとすると、ちょっとゴミが残っているだけで、憎しみまで生じてしまいかねません。ちなみに、ルンバが性能が低かったころからヒットしたのは、そのお世話感がいい感じだったのではないかと。著者によれば、ロボットも、関係性のなかで考えるべきだというのです。面白いです。
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【7冊目】
『会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション』(三木那由他、光文社新書)
会話というのは、言葉を媒介にして思いを伝えるもの、ではないというのです。
例えば『パタリロ』では言葉とは逆の約束ごとが発生していますし、『同級生』では、好きだという思いは伝わっていても、「好きだ」と言ってほしい気持ちが表現されています。
私は、学術書しか読まないし、腹芸が分からないし、情感がないんですが、そんな私でも、文芸って、やっぱりいいなあと。ぜひみんなで読んでみたい本です。
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さてチャンプ本は…、『人はなぜ集団になると怠けるのか』、『〈弱いロボット〉の思考』、『会話を哲学する』の3冊の決選投票となり…、『〈弱いロボット〉の思考』がチャンプ本となりました! ワーワー!
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料理のほうは新作、ムール貝ワイン蒸しです。なかなかいいのでは。
では次回は、『〈弱いロボット〉の思考』の読書会です! 実に面白そう。来月も楽しみです。ではまた。