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2021年9月20日月曜日

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)

『科学の発見』(スティーヴン・ワインバーグ)を読んだ。

 ニュートンはリンゴが落ちるのを見て重力を発見した、って、ちょっと何言ってるか分からない。本当はこう。

 ケプラーは水金火木土星全て、公転周期の2乗が太陽との距離の3乗に比例することを発見していました。またニュートンは円運動で生じる中心へ引く力(向心加速度)を解明しました。式を変形すると、太陽が惑星を引く力は距離2乗の反比例で弱まる。ここで地球が月を引く力と、地表の重力加速度も、おお、地球中心からの距離2乗の反比例で弱まってる。なんと太陽も地球も引く力は同様だ。重力を発見した!

2021年8月30日月曜日

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)

『フランス革命 歴史における劇薬』(遅塚忠躬)を読んだ。

 超面白い。歴史の本質まで迫る勢いです。フランス革命は要するに血まみれの大惨事であり、恐怖政治は半年で4万人を殺し、続く内乱では30万人が死亡しました。「人間は、生まれながらにして、自由であり、権利において平等である」とする人権宣言から、数年後には恐怖政治。なぜそうなるか。

 革命の前半は良く、後半暴走したと解するのがありがちですが、そんなのは事実に反します。男子普通選挙が実現したのも、生存権が登場したのも、恐怖政治下です。人権宣言も恐怖政治も、一体としてフランス革命なのです。

2021年2月8日月曜日

『ホモ・ルーデンス』(ヨハン・ホイジンガ)

『ホモ・ルーデンス』(ヨハン・ホイジンガ)

『ホモ・ルーデンス』(ヨハン・ホイジンガ)を読んだ。

 遊びは、文化や言葉よりも古い。なんとなれば、動物も遊びますから。遊びは、それよりも根源的な概念に還元できないのです。遊びは遊びのためにあり、何かのための遊びなんて違う。教育のためのゲームとか、学びのためのアクティビティとか、違うのです。

 ホイジンガの観察によれば、遊びとは、①自発的で、②日常生活から切り離され、③いったん受け入れた以上は絶対的なルールに従い、④緊張と歓びの感情を伴うもの。自発的、非日常、ルール、緊張と歓び。なんとこれは、ビブリオバトルそのものではないですか。

2020年12月7日月曜日

『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)

『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)

 『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)を読んだ。

 超面白い。中世では価格は常に一定でした。ではいったい、どこから資本主義が現れたのでしょう。王様と商人? 職人ギルド? 都市市場? ブー。正解は農村。奢侈品は余剰を分配するだけで生産力を上げませんし、ギルドや市場では他の構成員より多く儲ける奴は排除されました。目立たずに少しずつ効率化することができた農村内商工業こそが、生産力を上げたのです。

 設計されたユートピアや伝統復古は、実現できたことがありません。理念やニュースなんて重要じゃない。目立たない日常こそが歴史を変えるのです。

2020年9月15日火曜日

『日本のいちばん長い日』(半藤一利)

 『日本のいちばん長い日』(半藤一利)

『日本のいちばん長い日』(半藤一利)を読んだ。

 超面白い。敗戦日とその前日、皇居ではクーデター(宮城事件)が起きていました。若き陸軍部将校 畑中少佐らが、近衛第一師団長を殺害し、皇居を占拠して、本土決戦のため、玉音放送を阻止しようとしたのです。しかし未遂に終わり、畑中は自決。鈴木貫太郎首相の飄々とした肝の太さ、敗戦を遂行する内閣の辛苦など、24時間実録がスリリングです。

 絶対に負けを認めないぞ。そんなのは子どもの所行と、後世から言うのは簡単ですが…。浪漫主義はたやすく除霊できない。この本が面白いのが、まさにその証拠です。

2020年8月12日水曜日

『犬将軍 綱吉は名君か暴君か』(ベアトリス・M・ボダルト=ベイリー)

『犬将軍 綱吉は名君か暴君か』(ベアトリス・M・ボダルト=ベイリー)

『犬将軍 綱吉は名君か暴君か』(ベアトリス・M・ボダルト=ベイリー)を読んだ。

 超面白い。綱吉のファンになること必定。綱吉の評判が悪いのは、武士に嫌われたから。武士に嫌われたのは、儒教的仁政を理想とし、庶民を重視したから。その庶民重視の根は、当時の武士では例外的に母の影響を強く受け、母は八百屋の娘だったからです。

 また綱吉は中央集権を志向しました。家柄より能力で登用し(柳沢吉保等)、西洋史ならルイ14世風の絶対君主を目指しました。生類憐れみの令は、鷹狩りの縮小で大名が捨てた等の野良犬が十万匹も群れる江戸で、五代将軍綱吉と戦国的武士との衝突だったのです。

2020年8月2日日曜日

『科学革命の構造』(トーマス・クーン)

『科学革命の構造』(トーマス・クーン)

『科学革命の構造』(トーマス・クーン)を読んだ。

 パラダイム転換、面白い。読む前はポストモダン的というか、科学者は集団のルール内で考えるだけだ的な本かと思ってましたが、違いました。

 確かに、「チェスの問題を解こうと苦心する人は、チェスのルールについて考えない」としています。しかしむしろ、その解こうとする苦心、パラダイム内での通常科学こそを、科学の長所と評価しています。ルールの転覆(まさにコペルニクス)は外野からは目を引きますが、そもそも転覆が可能になるのは、つまり異常に気づくのは、通常科学による蓄積があるからこそなのです。

2020年6月22日月曜日

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(ユヴァル・ノア・ハラリ)

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(ユヴァル・ノア・ハラリ)

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(ユヴァル・ノア・ハラリ)を読んだ。

 べらぼうに面白い。スケールが大きい。あらゆる革命や思想を相対化。上から目線をさらに超えた、神から目線です。読了するとしばらくの間なにを聞いても、「人類全体の歴史から見れば、小さい小さい」と思えるという効果あり。神から目線、あなたも手に入れてみませんか?

 後半の「幸福」の検討は比類がありません。著者はどんな理念体系へも超上から目線ですが、そんななか唯一、幸福のために有望視している考え方があります。それは原始仏教。これを読んで私は思いました。とうとう来た。やっぱり原始仏教だと。

2020年5月26日火曜日

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)

『読書の歴史 あるいは読者の歴史』(アルベルト・マングェル)を読んだ。

 ただの通史ではない。黙読の歴史、蔵書収集の歴史、図書分類の歴史など、お好きな方にはたまらない渉猟ぶり。古今東西、異様に博識です。

 例えば朗読会の歴史。古代ローマでは頻繁に開催され、自作の出版への第一歩になっていました。朗読を聞かない客に怒り、出版で名が売れたと喜ぶ小プリニウスが、わりとかわいいです。近代英国、朗読会の花形はディケンズで、演技や感情に頼らずに想像を喚起させる巧者だったとか。キューバは独立前夜、工場労働者に朗読会が広まるも、団結を恐れた政府はこれを弾圧しました。