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2021年9月8日水曜日

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)

『創造的破壊 グローバル文化経済学とコンテンツ産業』(タイラー・コーエン)を読んだ。

 考えさせる力が強い本です。グローバル経済は世界各地の文化的独自性を、現実に削いでいる。では、ハリウッド映画やショッピングモールは悪か。

 例えばパプアにモールができれば、パプアの独自性は失われ、美術コレクターの選択肢は狭まるでしょう。しかし、パプア人の選択肢を狭いままにしておけというのは正しくない。また、「社会集団間の多様性」が減っても、「社会内部の個人にとっての多様性」は増えうるし、そのほうが人々が自分に噛み合う文化を獲得しやすい。現に狭くても深い文化は増えている、という。

2021年1月22日金曜日

『「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待』(佐伯胖)

『「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待』(佐伯胖)

『「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待』(佐伯胖)を読んだ。

 著者はゲーム理論やパレート最適を丁寧に検討していきますが、どうもうまく現実を説明できません。そして気づくのでした。経済学は根本から間違ってると。

 経済学は丸ごと、人が自己利益の最大化を求めるという仮説の上に乗ってます。しかし実際、我々はさほど利己的ではありません。なのに利己心仮説が説明原理として普及すると、他人に利己心仮説を適用し、自分だけ取り残される恐怖が生じ、嫌々ながら利己的に選択してしまう。しかし利己心仮説が幻影ならば、そんなのは怯えて何でも怖がってるも同然なのです。

2020年12月7日月曜日

『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)

『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)

 『経済史 いまを知り、未来を生きるために』(小野塚知二)を読んだ。

 超面白い。中世では価格は常に一定でした。ではいったい、どこから資本主義が現れたのでしょう。王様と商人? 職人ギルド? 都市市場? ブー。正解は農村。奢侈品は余剰を分配するだけで生産力を上げませんし、ギルドや市場では他の構成員より多く儲ける奴は排除されました。目立たずに少しずつ効率化することができた農村内商工業こそが、生産力を上げたのです。

 設計されたユートピアや伝統復古は、実現できたことがありません。理念やニュースなんて重要じゃない。目立たない日常こそが歴史を変えるのです。

2020年6月16日火曜日

『スティグリッツのラーニング・ソサイエティ 生産性を上昇させる社会』(ジョセフ・E・スティグリッツ、ブルース・C・グリーンウォルド)


『スティグリッツのラーニング・ソサイエティ 生産性を上昇させる社会』(ジョセフ・E・スティグリッツ、ブルース・C・グリーンウォルド)

『スティグリッツのラーニング・ソサイエティ 生産性を上昇させる社会』(ジョセフ・E・スティグリッツ、ブルース・C・グリーンウォルド)を読んだ。

 超面白い。ここ二百年で人類の暮らしが格段に良くなったのは、ラーニングのおかげ。特に職場での着実な改善のおかげです。

 自由市場は理論上、世界の富を最大化しないとの指摘が刺激的。リカードの比較優位説は、各国が国内で最も得意な分野に注力したうえ自由貿易すれば世界の富が最大になるとしますが、これが本当なら、米国も日本も韓国もずっと農業国だった方が世界の富が多かったのか。これはラーニングを無視した立論です。工業はラーニングが生じやすいため、ある種の工業保護は、世界の富を増やすのです。