2020年10月29日木曜日

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』(フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー)

#ハヤカワノンフィクション文庫


『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』(フィリップ・E・テトロック、ダン・ガードナー)を読んだ。

 評論家や諜報員の予測が、猿のダーツ投げより的中しない。そんなんでいいのか。そこでガチンコ、予測トーナメント開催です。結果、ボランティア(年間3万円ギフト券)の一部「超予測者」は、高給取りのCIA情報分析官より予測力が高かったという…。超予測者の特徴は、思想信条に縛られないこと、運命論を信じないこと、数学と読書が好きなこと。

 予測力、実に高めたい。でも本当は、10年先の変化を見通すことは「絶対に」できない。予測力や知的柔軟性には価値がある。しかし人の予測には限界があるのです。

2020年10月22日木曜日

『Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法』(ウォーレン・バーガー)

『Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法』(ウォーレン・バーガー)

『Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法』(ウォーレン・バーガー)を読んだ。

 答えよりも、問いのほうが重要です。例えばドラッカーは企業に助言するとき、何をすべきかの答えを示すのではなく、質問を投げかけ、どういう問いが重要かを明確にすることで実績をあげました。

 対して普通の専門家は、答えを与えるのが役割と思ってます。ちなみに私も思ってます。「どうしてあなたは自分が専門家より分かっていると思うのですか?」とか言い出しかねませんが、これへの返しは「確かに知っていることは少ない。だがその方がいいこともある」。専門家の答えだけでは新しい解決は生まれないのです。

2020年10月12日月曜日

『社会心理学講義 〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』(小坂井敏晶)

『社会心理学講義 〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』(小坂井敏晶)

 『社会心理学講義 〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉』(小坂井敏晶)を読んだ。

 超絶面白い。社会と個人とはどのような関係にあるか。問いが骨太すぎる。

 社会と個人が存在し、相互に影響する、では甘すぎます。例えば心理実験で我々は、強い被害を受けている人と弱い被害を受けている人を見ると、強い被害を受けた人を低く評価する傾向があります。これは単に無情だとか、認知バイアスだとかでは済まない。悪い人が悪い目に遭う、世界は概ね公正だ(公正世界仮説)、という心理がなければ、社会は成立しない。社会は個人から構成されますが、個人心理の底には社会があり、円環で一体なのです。