2021年3月27日土曜日

第13回読書会 ビブリオバトル・テーマ「宇宙」


新書読書会「連鎖堂」を開催しました。今回はビブリオバトル。

 たまには桁違いなことを考えたい! ということで、テーマは「宇宙」(新書限定)です。宇宙、いいですね。物理の極限、夢幻の根源、現実の宇宙飛行。

 参加は少人数4名ですが、以下の3冊が紹介されました。

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『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 天文学者が解説する』(谷口義明、光文社新書)

 本書によれば、宮沢賢治は、(鉱物好きが有名ですが、)銀河や宇宙のこともちゃんと分かって書いている。当時の最先端の本を読んでいたのではないかと。
 著者からは、天文の話を広めたいという情熱が伝わってきます。文章も柔らかくて読みやすく、文系にもとてもお勧めです。

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『宇宙の始まりに何が起きたのか ビッグバンの残光「宇宙マイクロ波背景放射」』(杉山直、講談社ブルーバックス)

 ビッグバンの謎を解く鍵となる「宇宙背景放射」の第一人者による新書です。知らない間の30年に宇宙論が進展していて、30年なんて宇宙の歴史に比べれば極小の短さなのに、どんどん進展したことよ、と思いました。あと、物理学者はけっこう断言します。宇宙背景放射の光が届くよりも先には、何もないと断言してます。
 平易というわけではないので、自分がどのくらい読めているのか、次回の読書会で確認したい。

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『宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで』(吉田伸夫、講談社ブルーバックス)

 宇宙が完全なる虚無へ向かうリアルな根拠づけが、ぞくぞくします。
 今の宇宙(宇宙歴138億年)は若い、というのが意外です。そして、その若い間しか生命は生まれようがないのです。地球生物50億年は、そんな短い間によく生まれた、儚いけれど奇跡的、と感じました。

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 さてこの3冊、宇宙の『始まり』と『終わり』がシンクロしてますが、(発表順もたまたま、始まって終わる、と綺麗でしたが、)みなさまがたは、どの本をいちばん読みたくなりましたでしょうか?

 では、チャンプ本の発表です!

 チャンプ本は、『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』! しかも満票(発表者以外の全員の票を集めた)です。おめでとうございます!

 楽しかった! 次回は、『宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』を課題本とする読書会です。

 来月も、いい新書とともに、お会いしましょう。

2021年3月4日木曜日

『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)

『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)

『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(山田奨治)を読んだ。

 日本の著作権法の法定刑は、世界で一番厳しい。なんと窃盗と同等です。盗みは誰でも悪いと思うでしょうが、コピーを配るのが同じくらい悪いのか。著作権法の第一人者、中山信弘曰く、「法改正としては極めて遺憾である」。本書では、法改正が実際いかになされているかを観察できます。

 文化の創成と拡散にとって、コピーは不可欠な要素です。ところが業界側は、文化を商品カテゴリーの一種だと思っています。そして、普通の人がやっていることを犯罪にしようとしています。法で犯罪を創る。それは法匪の発想です。