2021年10月23日土曜日

第18回読書会 『サラ金の歴史』


新書読書会「連鎖堂」を開催しました。今回は課題本の回で、課題本は『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』(中公新書、小島庸平)。こういう、自分からはなかなか読みそうにない本が読めるのも、読書会のいいとこですね!

 以下、参加者から出た意見です。

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Aさん
  •  なんでこんなに面白いのかというくらい面白い。なんでかと考えているうちに、これはピカレスク・ロマンなんじゃないかと。嫌われ者を主人公にして、内部抗争したり、かと思えば団結して外敵を打ち破ったり。時代をしぶとく生き抜く様や、最終的に滅びゆく様が。信用情報登録機関をめぐって、神内(プロミス)は分離独立、浜田(レイク)と武井(武富士)は激しく対立し、「まるで新日本プロレスと全日本プロレス」。ところが外資大手の上陸に対しては、業界努力でほぼ完全に駆逐(残った外資はアイク1社のみ)したり。
  •  著者は、普通は悪者のサラ金を単に断罪するのではなく、サラ金側の論理からも組み上げていて、それでこんなに面白いのだと思った。

Bさん
  •  レイク創業者・浜田武雄の、サラ金黎明期の発言、「明日の米を買う金は絶対に貸すな」「あくまで生活の余裕資金のニーズに対してお貸ししろ」というのはいいと思いますが、そのサラリーマンの「前向きな目的」が、アルサロ(アルバイトサロン=素人のアルバイト女性が接客するキャバレー)代というのが…(104頁)。「借金して遊ぶくらいでなければ『出世』できない」、脂ぎった人が評価される時代だったんだなと。それを考えると、今はいい時代になってきたなと思った。

Cさん
  •  戦前の「貧民窟」での素人高利貸の記述で、人にお金を貸すことは「自らの優越を認めさせる絶好の機会」(19頁)というのが、すごいと思った。承認願望のために働くということや、組織上位者がそれを利用するという構造は、現代にもつながると思う。
  •  「ようきつい催促でけんわ」とこぼす、プロミス創業者・神内良一が印象に残った(93頁)。サラ金には、資本主義と人間性の齟齬というか、お金は人を傷つけもするということが、よく表れてしまう業態なんだなと思った。

Dさん
  •  ものすごく面白かった。私はゼロ年代前半の尋常でない破産件数の増大を、弁護士として身をもって体験してますが、その背景が重層的に分かって、興奮した。
  •  特に、私からは敵側だったサラ金の側の論理が分かったのがよかった。また、銀行も含む金融の流れ、金余りや規制の影響も把握できた。自殺への影響が非常に印象に残った。

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 中公新書らしい、要点がつかみやすくて、かつ深いという、いい経済史でした。

 料理のほうは、豚バラ肉をやわらかく、歯触りはカリっとできたかな。低温調理チキンとクリームチーズのバジルソースも、けっこうイケてたような。

 いやー、新書って、本当にいいものですね。ではまた来月!