2021年12月18日土曜日

第20回読書会 『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。』


新書読書会「連鎖堂」を開催しました。今回は『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 心理学的決定論』(妹尾武治)をみんなで読む回です。この本は実に様々な読み方ができる本で、会話も溢れんばかりとなりました。

 個人的には自分では選ばない本なので、読めてよかったです。読書会で、自分では選ばない本を読んで、世界が広がる。これも運命か。

 以下、参加者から出た意見です。

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Aさん
  •  私は、ラプラスの悪魔的な決定論が成り立ってると思う。自由意志は存在しないと思う。
  •  この本にいっぱい出てくるサブカルネタ、ぜんぶ分かってしまった。

Bさん
  •  子どものころ、夜寝るとき、明日も目が覚めるのか怖かった。今でも、昨日の自分と今日の自分は続いているものなのか、怖くなることがある。この本には自分というものは不安定だと書いてあり、なるほどと思った。

Cさん
  •  性犯罪は再犯率が極めて高い。ところが、去勢された人物は再犯する確率が0.7%まで下がる(72ページ)。性犯罪を減らせるのはもちろん、心が暴走しなくなるなら、それはいいことなのではないか。

Dさん
  •  学生時代に専攻していた、実験系の心理学を思い出した。心理学は、間接的な証拠を積み上げていくことによって明らかにしていくという、推理小説のようなところがある。この本は、前半はまさに積み上げていく心理学だと思った。環境が判断に与える影響が大きいというのは、まさに同感。後半はだいぶ拡散していると思う。
  •  ネタに出てくるだろうなと思う心理学実験や出来事が、次々に出てくる快感があった。

Eさん
  •  意識の影響は少ないということと、意識が影響を及ぼすことが論理的にできないというのは、別の話のはず。この本は、心理学的実験の結果を、ラプラスの悪魔的決定論と混同している。そのうえ、運命論(宇宙に目的があるとみる前近代的自然観)とも混同している。
  •  この本をきっかけに『自由意志の向こう側』(木島泰三)を読んだが、実に面白かった。『未来は決まっており』は、『自由意志の向こう側』がいうところの、「怪談話としての運命論」の典型と思う。
  •  この本は科学ではなく、宗教の本だと思う。そして宗教でいうなら、仏教で唯識しか検討しないのは偏っている。この本は意識や心だけが実在だとしているが、意識や心は実在ではない(仏教の多数説)というほうが、宗教的に有望と思う。

Fさん
  •  小説は、結末は決まっているが、読んでいるあいだ楽しむことができる。つまり、決定論でも、それほど困らない。私には、決定論によって大切なものが失われるという感覚はない。
  •  ベンジャミン・リベットの実験によれば、手を上げようと思う瞬間よりも先に、脳に、手を上げる準備電位が観測できる。この実験は、「準備電位が発生する前にも意志はあるが、その意志は意識の表面には上がってこない」と解釈できるのではないか。表面に上がってこないことには利点がある。意志決定を行動直前まで知られないことが生存競争で有利であるので、相手に知られないためには自分自身にも知らせないのがよいから。ただこの、準備電位前の意志を、自由意志といえるのかは分からないが。
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 面白かった! 2枚目の写真は、新作のバナナホットケーキです。寒いときにホットケーキはいいですね。

 では来月も、いい新書とともにお会いしましょう!