2020年7月30日木曜日

『コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史』(小林章夫)

『コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史』(小林章夫)

『コーヒー・ハウス 18世紀ロンドン、都市の生活史』(小林章夫)を読んだ。

 コーヒーハウスには、近代の幕開がありました。政治談義、文学談義、株価情報、初期ジャーナリズム(新聞雑誌)、貸本屋、読書会。さらに郵便、広告、保険(ロイズの前身)。果ては薬屋、科学実験、博物陳列(「エデンの園の扉の鍵」とか)まで。猥雑さが素晴らしい。

 初期のコーヒーハウスには、身分職業の区別なく、ぼろを着ていようと流行の衣裳で固めていようと、出入りできました。しかし「発展に伴って客層が固まっていくという現象が生まれ、これがコーヒー・ハウスの活気を失う一因になった」。なるほど。

2020年7月27日月曜日

『一科学史家の自伝』(中山茂)

『一科学史家の自伝』(中山茂)

『一科学史家の自伝』(中山茂)を読んだ。

 面白い。輸入学問を批判し、東大で排斥されて万年講師となり、退官記念パーティで罵倒されるに至る自伝が刺激的。科学史家ならではの視野の広さも出色です。

 「歴史家の視点からすれば、五年、十年先は頑張ればまだ技術日本を維持できるだろうが、一、二世代のうちにいずれアジアに移転され、格差がなくなっていくと思うのだが」とか、「僕は一般に近代医学の排他性が嫌いで、そのパラダイムでは心理的、生理的、薬理的な位相は決してすべてカバーできているわけではない」とか、さらっと言えるのが格好いいです。

2020年7月22日水曜日

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)を読んだ。

 かなり面白い。スポーツ、演奏、将棋、武道、何でもいいから上達したくなること必定。例えば、中級者に上がるコツはまず得意技を見つけること等、私の数少ない上達経験からも納得です。

 上達の秘訣は、情報処理にあります。人が短時間内に処理できる情報は7つ程度にすぎませんが、ある技能、ある戦法、ある感覚を、ひとまとまりのもの(スキーマ)として自分の心内で把握できていれば、情報処理に余裕が生まれ、上のスキーマも見えてくる。上達巧者はスキーマ形成がうまい。メモで言語化を試みるのもお勧めです。

2020年7月20日月曜日

『科学から空想へ よみがえるフーリエ』(石井洋二郎)

『科学から空想へ よみがえるフーリエ』(石井洋二郎)

『科学から空想へ よみがえるフーリエ』(石井洋二郎)を読んだ。

 超絶面白い。フーリエは理想協同体を構想しましたが、それは修道院的でなく、情念を肯定しました。バルザック曰く「フーリエは情念を、人間を導き、ひいては社会を導く原動力と考えたが、これは確かにもっともなことであった」。なるほど。

 ではその情念とは。「創造は、男性である北極液と女性である南極液との交接によって行われる」「地球は創造の欲求に激しくかきたてられている。北極光〔オーロラ〕の頻発からそのことが知られる。北極光は惑星の発情の徴候であり、精液の無益な射出なのだ」。フ、フーリエ?

2020年7月14日火曜日

『世界を変える教室 ティーチ・フォー・アメリカの革命』(ウェンディ・コップ)

『世界を変える教室 ティーチ・フォー・アメリカの革命』(ウェンディ・コップ)

『世界を変える教室 ティーチ・フォー・アメリカの革命』(ウェンディ・コップ)を読んだ。

 アメリカン・ドリームを実現できない国、アメリカ。教育格差が酷すぎ、貧困に生まれると大学に入れないためです。著者はこれを、現実に打破しようとしたのです。

 著者が創始したティーチ・フォー・アメリカは、投資銀行に就職するような大学生を勧誘し、貧困地域の学校へ教師として2年間送り込みます(その後も教育分野に残る人も多い)。良い教師の人材獲得を徹底的に追求し、成績向上を厳しく要求します。貧困地域で通常の教育を実現しても足りない。本当の機会平等を実現するという、強い信念が溢れています。

2020年7月10日金曜日

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)を読んだ。

 皆さんご存じですか。パソコン、実は、物理的な存在だった。IC(ゲジゲジみたいなやつ)の足の1本1本のオンオフが、2進法の1桁を表すと。つまり8本足のICなら、オンオフで2の8乗=256通り表せると。これが8ビット=1バイトと。そんな物理的な。いやもちろん、知ってましたけど。

 CPUもメモリもICですが、CPUが演算したり、メモリがデータを格納したりする具体的なやり方(ぜんぶ2進法かつ物理的)が分かりやすい。いや、この本はいいですね! ブラックボックスが開く快感があります。

2020年7月3日金曜日

『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(若桑みどり)

『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(若桑みどり)

『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』(若桑みどり)を読んだ。

 面白い。二十万人が参加した信長の馬揃え、インド的で夢幻的なキリスト教都市ゴア、少年使節が招待された絢爛たるローマ教皇即位式、全てが美しい。

 少年たちは希望を胸に世界へと旅立ちましたが、帰ってきたら国が閉じつつあった…。秀吉に気に入られるも司祭になるため断る伊東マンショ。学知を極めんと異境の地マカオで果てた原マルティーノ。神も仏も信じなくなった千々石ミゲル。激しい拷問により殉教する中浦ジュリアン。鎖国とは何か。帝国とは何か。宗教とは何かを考えさせる、強い衝迫力をもった本です。