2020年7月25日土曜日

第5回読書会 ビブリオバトル・テーマ「医療」


新書ビブリオバトル「連鎖堂」を開催しました。今回は密にならないよう、少人数4名での開催です。発表本4冊、はたしてチャンプ本に輝くのは、どの本なのか? (ちなみに参加者が持ちよった新書は全部あわせて10冊)

 テーマは、今こそ直球の、「医療」です。では以下、文字で読む、疑似ビブリオバトルをお楽しみください。みなさまがた、以下の4冊のうち、どの本をいちばん読みたくなりますでしょうか?

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1冊目 『心病める人たち 開かれた精神医療へ』(石川信義、岩波新書)

 なんで我々は、病んでいる人に、こんなにも不寛容になってしまったのか。立ち止まって考えると、おそろしい。
 著者の強烈なキャラクターと情熱、閉じ込めに向かう精神医療を開かれたものへと実践していくストーリーが面白い。精神病での入院を概ね廃したイタリアの取組も、とても印象的です。

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2冊目 『医の希望』(齋藤英彦編、岩波新書)

 著者9名、山中伸弥など医療各分野の第一人者が、その最新状況を語る新書です。
 「革新技術を医に活用する」の4つの章は驚きです。特に、要介護の高齢者がパワードスーツ(ロボットスーツ)を着ると、だんだん自分で動けるようになる、というのが。SFか。いいえ、現実です。ナノ医療もすごい。

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3冊目 『医療ケアを問いなおす 患者をトータルにみることの現象学』(榊原哲也、ちくま新書)

 現象学から、医療ケアを考える。全5章のうち1章は、哲学としてのガチの現象学。
 しかし、現世から遊離しているのかのような現象学が、こんなにも現実に使えるとは。病院に行くと、患者としてふるまってしまうのはなぜか。そういうふるまい、関係性から、離れることはできるのか。非常に興味深いです。

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4冊目 『医薬品クライシス 78兆円市場の激震』(佐藤健太郎、新潮新書)

 製薬業界、こんなにもギャンブル的な収益構造だったとは。開発費が跳ね上がり、そのために合併を重ねて巨大化したのに、ぱったりと新薬が生まれなくなってしまう。簡単に作れる薬はぜんぶ作ってしまった。どの業界だって大変ですが、製薬もか。
 薬の生理的、経済的、そして実際のお仕事からみた仕組みがリアルに分かります。

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 さてこの4冊、どれも面白そうですが、みなさまがたは、どの本をいちばん読みたくなりましたでしょうか?  では、リアルでの投票結果、チャンプ本を発表します!

(ドラムロール)
ダン!

 今回のチャンプ本は、『心病める人たち 開かれた精神医療へ』です。おめでとうございます!

 実践のストーリーも面白そうですし、病むことと社会との関係も知りたいので、とても読みたくなりました。

 来月は、『心病める人たち』を課題本とする読書会です。ではまた来月も、いい新書とともに、お会いしましょう。

2020年7月22日水曜日

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)

『上達の法則 効率のよい努力を科学する』(岡本浩一)を読んだ。

 かなり面白い。スポーツ、演奏、将棋、武道、何でもいいから上達したくなること必定。例えば、中級者に上がるコツはまず得意技を見つけること等、私の数少ない上達経験からも納得です。

 上達の秘訣は、情報処理にあります。人が短時間内に処理できる情報は7つ程度にすぎませんが、ある技能、ある戦法、ある感覚を、ひとまとまりのもの(スキーマ)として自分の心内で把握できていれば、情報処理に余裕が生まれ、上のスキーマも見えてくる。上達巧者はスキーマ形成がうまい。メモで言語化を試みるのもお勧めです。

2020年7月10日金曜日

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)

『プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識』(矢沢久雄)を読んだ。

 皆さんご存じですか。パソコン、実は、物理的な存在だった。IC(ゲジゲジみたいなやつ)の足の1本1本のオンオフが、2進法の1桁を表すと。つまり8本足のICなら、オンオフで2の8乗=256通り表せると。これが8ビット=1バイトと。そんな物理的な。いやもちろん、知ってましたけど。

 CPUもメモリもICですが、CPUが演算したり、メモリがデータを格納したりする具体的なやり方(ぜんぶ2進法かつ物理的)が分かりやすい。いや、この本はいいですね! ブラックボックスが開く快感があります。