2022年6月4日土曜日

第25回読書会 ビブリオバトル・テーマ「心理学」


新書読書会「連鎖堂」を開催しました。今回はビブリオバトル、テーマは「心理学」です。

 新書の心理学、いいですね。ただ、いざ探してみると、ちょっと前まで新書は心理学花盛りという感じだったのが、いまはむしろ、社会学や経済学のほうが多いかな?

 紹介された本は以下の4冊です。

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1冊目
『こころの熟成 老いの精神分析』(ブノワ・ヴェルドン、文庫クセジュ)

 老いていって、その先が死なのではない。老いとは、子供が成長するのと同じような、人生の段階の一つです。死の前段階というわけではありません。
 クセジュ文庫なのでちょっと難しい箇所もありますが、身近な老人や自分自身のこの先(というか既に?)にもすごく当てはまる、読みがいのある本でした。
 うまく老いるために、おすすめです。

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2冊目
『「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟』(諸富祥彦、集英社新書)

 そもそも本当の大人って何だろうか。この本には最後のほうに「本当の大人の15のチェックリスト」が載っていて、このチェックリスト全てにチェックが入れば本当の大人、なのかもしれませんが…。
 あと、今回はテーマは心理学だったのですが、タイトルに「心理学」とあっても、心理学ではなく、道徳の話が書いてあることが多いなと思いました。

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3冊目
『感情の正体 発達心理学で気持ちをマネジメントする』(渡辺弥生、ちくま新書)

 非行少年は、そもそも相手の感情がわからない。例えば親から声をかけられたとき、親が心配してそう言っているのだということがわからず、言葉だけに反射してキレてしまう。彼らは自分の感情を把握するのも苦手です。
 そのような発達になってしまう背景や、一般人も含めた、感情をコントロールする手法など、説得的でした。
 その他、感情の全般について、幅の広い、事典的なところもある本で、読書会にふさわしい本ではないかと思いました。

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4冊目
『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』(中野信子、幻冬舎新書)

 心理学って、微妙にうさんくさいと思いませんか。
 本書は胡散臭さが絶妙です。テーマも、いじめ・ネットリンチ・シャーデンフロイデ(他人の不幸は蜜の味、ネット用語でメシウマ)など、ゾクゾクするようなものばかり。
 日本でいじめが起こりやすいことを、脳神経科学から、なんなら遺伝子から説明してしまうという面白さ。読みやすくておすすめです。

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さて皆様、どの本が読みたくなりますでしょうか? チャンプ本は…。『こころの熟成』と『感情の正体』の決選投票になり…。

 『感情の正体』に決まりました。おめでとうございます!

 ですので次回は、『感情の正体 発達心理学で気持ちをマネジメントする』(渡辺弥生、ちくま新書)を課題本とする読書会です。この本は、読書会にうってつけの予感! 楽しみです。

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 写真の料理は新作の、茄子とベーコンのラタトゥイユ。のはずが、トマト煮込みのようになってしまいましたが、味は良し!

 次回は『感情の正体』読んで、わいわい話ししましょう。